FP&Aで採用したくなる人、したくない人(実際の採用面接経験から)
コロナの環境下で最近は採用面接もZoomなどのTV会議で実施しています。
私はこれまで外資、日本企業の両方でFP&Aの採用をしてきましたが、その中で採用したくなった人と、採用したくないと思った人の特徴を書きたいと思います。FP&Aを目指す人は参考にしていただければ。
TV会議で面接難しいかなと思っていましたが、画面を通しても伝わってくるものは伝わってくるなと感じてきました。
体・心・技・その他、の観点で見ていきます。
体力面
FP&Aは経営に近い立場で仕事をすることが多いので、最速での業務遂行を求められます。時には深夜残業や休日出勤が発生します。なので自分の成長に対する強いコミットメントやプロフェッショナリズムがある人が成功しやすいです。そのため、時勢に逆らうかもしれませんが、下記のような判断をしてきました。
- タフな状況を乗り越えてきていて、正直に「大変でしたわ~(笑)」と言える方は体力的にOKかなという印象がありますし、実際ご入社頂いたあともご活躍いただけました。具体的には「グローバルで何百社も子会社管理してて死にそうでした」や「海外子会社に放り投げられて寂しかったですがやりきりました」や「システム導入プロジェクトで修羅場をくぐりました」といった具合です。
- 「今の職場が忙しすぎで、ワークライフバランスを求めてやってきました」という人。これは残業しろという話ではなくて、意識やタフネスの問題でNGにしています。因みに今の私のチームでは短い時間でパフォーマンスを出す、成果さえ出していればどんな働き方でもいい、というスタイルでやっています。
- 話の途中で考えこんで何度も止まってしまう方。こういった方は知的体力の側面で不安が残ります。論理的思考をテストするような質問の受け応えであればむろん問題ないのですが、前職ではどういった役割でしたか?や当社で何を実現したいですか?など簡単な受け応えの際に5秒以上の間が何度もある場合はやはり採用にするには心配になってしまいます。
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心の面
FP&Aに携わると、経営者に近いところで業務を行うことになりますので、経営者視点で何を求められているのか、また何が必要であるのかしっかりと考えらえることが必要ですし、成功しているFP&Aの方のメンタル的な特徴を踏まえて、下記のような判断を面接ではしてきました。
- 目標、キャリアプラン、入社して経験・実現したいことを明快に説明できる人はGoodですね。こちらで予定している業務もそれに即して説明できるので、お互いの期待値の整合性を取りやすいです。
- 話しているときに、人の眼を見れない。稀に全く目を合わせない方がいらっしゃいます。コミュニケーション力が大事な仕事なので難しいですが、それ以上にメンタル的に現職でお疲れなのかな、と考えてしまいます。
- 成長意欲、向上心があるかないかがわかるので、ちゃんと勉強しているか、世の中の動きを見ているか?でも判断しています。例えばFP&Aでも会計のことは理解していないといけませんので、「収益認識基準が改正されますが前職だとどのような影響がありますか?」と聞いたりします。他には「消費税のインパクトは?」「パンデミックのインパクトは?」など。細かく知らなくてもいいのですが、「何のことです?」的な不勉強さが見えるとNGにしてます。
- ジュニアなクラス、スタッフの採用においては、当社の業績についてどう思う?売上とか顧客層は?といった質問もしてみます。IR資料や官報、ウェブサイトなど見てくればわかるような質問をします。結構驚きますが、ファイナンス部門の採用なのにIR資料全然見てないな、という不勉強な人もいたりします。まぁ当社への応募は練習だったり興味なかったりなのかもしれませんが。
- 身だしなみの乱れがある方もNGにしています。これはスーツを着てるか着てないかとかではなくて、心身が充実しているかの確認ポイントです。FP&Aの採用に限りませんが。もし真剣に面接にくるのであれば気合入れてシャンとしますよね?と思ってこちらも真剣に望んでいるのでこんな方々は採用できませんでした。例えば「思いっきり寝ぐせそのまま」とか、「シャツの襟がスーツがかなり勢いよく飛び出してる」とか、「ネクタイが超ゆるゆる」とか。
- FP&Aの相対する人はリーダー層になるので、ワタワタ慌てちゃう人もちょっと難しいかな、と捉えます。タフな場面はいくらでもあるので、面接も緊張する場ではありますが正直面接程度で緊張しすぎる人はマッチしないな、と思うからです。
- 資格の取得を途中で辞めている人は印象が悪いです。科目合格で止まっている人。最近のことであれば、これから残りの合格目指してます!であればよいのですが数年前に止まっている人は、正直に「諦めました」という方もいるのですが、粘り強さ(メンタル的なタフさ)がない印象を受け手しまいます。いっそ履歴書に書かない方がいいよ、、、とついつい思ってしまいます。
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技の面
FP&Aの人が数字に強くないと、それはもう致命的です。仕事になりません。リーダー層とやりとりするときにも、高いスキル・専門スキルを持っていないと信頼されるのは難しいです。そのためちゃんとしたスキルセットを持っているかは重要になります。
- 面接の前に書類審査になりますが、どういった会社でどういった部署で何を経験しているか?を最初に確認します。最低限、会計のベースとなる経験を持っているか?を見ます。面接では実際何やってきたの?を聞くわけです。前職でFP&Aや管理会計、経営管理を3年くらい経験しているとある程度安心感があってよいです。または経理財務領域の経験しかない人もいますが、30代前半くらいまでであれば会計と数字のベースがあるので、ポテンシャルを見て採用も考えます。
- あと履歴書を見ると、その方がどのように育てられてきていて、現職でどういった立ち位置なのかも見えてきます。しっかりローテーションされて育てられている人、重要性高いであろうプロジェクトにアサインされていることはGoodです。その代わり、そういった方には現職に留まるメリットをちゃんと理解しているか、それでもなぜ外に機会を探すのか?を必ず確認しています。一方で例えば外資で30代半ばすぎててスタッフの方、同じ仕事をずーとやっている方は印象が悪いです。評価されていないのかな、と捉えてしまいます。
- なんだかんだ言って、資格はやはり見てしまいます。MBA、公認会計士、USCPA、中小企業診断士、税理士等々。ただし会計士や税理士の方で現職がコンサルや監査法人・税理士法人の方だと、「ホントに事業会社にくるの?」を確認します。その方のキャリア・チェンジになるので、キャリアに対する考えがしっかりしているか、その方のために自社に提供できる機会が、本当に良い転職になるか?を見ます。
- 面接の場で実技テストができるとさらに判別しやすくなります。例えばエクセルの操作感(スピード、関数の組み方など)。他にはベーシックな会計とかファイナンスの数字問題。
- 難しい場合は口頭で論理的思考をチェックしたりします。具体的には、「このオフィスビルって何人くらい働いていると思います?」とか「うちのこの製品って年間どれくらい売れてると思います?」なんてことを聞いてみます。「XXくらいですか」と答えが出た際に、すかさず「それはなぜ?」と確認します。ここで「え~」とか「う~ん」となる人は、てきとーもしくは感覚で答えていることが見て取れます。ここで正確でなくてもいいので、「このビルは30階くらいあったと思うので、1フロアが150坪として100人、30階x100人で3000人くらいでしょうか」みたいに応えてくれると、数字を分解して組み立てる思考のクセを持っている人でgoodだな、と判断してます。
その他
- 会社として公式にとるリファレンス(前の職場の上司や同僚、友人などその人の人柄や能力について電話やメールで聞かせてもらう手続き)も有用な情報源になります。候補者を介した紹介になるので、バイアスかかりますが、まぁないよりはいいので、リファレンスをお願いできる人をつくっておくのは大事です。
- なお、採用側(私もですが)は裏側でもリファレンス情報を入手できることがあります。例えば採用担当者の親しい友人が候補者の現職と同じ会社にいる場合などです。かなりリスキーなのであまりない事例とは思いますが、立つ鳥跡を濁さずというか、今いる場所で真摯に頑張っておくことは大事なのだと思います。どこかで誰かが見ているものです。世間は思っている以上に狭いです。
最後に
これを言うと元も子もないですが、「一緒のチームで働きたいな」「育てたいな」「この人から勉強したいな」と思える魅力的な人物であるか。これはお互い様の話になりますが、ここは絶対要件になると思います。自分が面接する立場ならどういう人をそのように思うか?をイメージすればいいと思います。
まぁ全部当てはまるような人は自分も含めて早々いないですし、いたら他社との取り合いなので、偉そうなこと言っておきながら中々ご入社頂けないのが実情です(笑)