社内ルールが一か所にあることの重要性(太鼓と旗)

Ancient Chinese Battles and Wars, major battles fought in ancient China

 

孫氏の兵法より

 

新訂 孫子 (岩波文庫)

『軍政に曰わく、「言うとも相い聞こえず、故に金鼓(きんこ)を為る。視すとも相い見えず、故に旌旗を為る。」と。是の故に昼戦に旌旗多く、夜戦に金鼓多し。金鼓・旌旗なる者は人の耳目を一にする所以なり。人既に専一なれば、則ち勇者も独り進むことを得ず、怯者も独り退くことを得ず。此れ衆を用うるの法なり。』

 

という言葉があります。

 

これは、戦場においては指示を口で言ったのでは聞こえないから、太鼓や鐘の鳴りものを備え、手で指示しても見えないから、旗や幟を備えるのだ、ということを言ってます。

そうしないと、勇敢な兵士も前に進むべき時に進めないし、臆病な兵士が勝手に退くこともできない、と示唆しています。

 

戦場だけにとどまらず、これはオフィスの中(オフィスもある意味戦場ですが・・・)においても、当てはまります。

 

  

こんなイライラ経験ないでしょうか?

 

「XXの申請を出したいが、その申請書のフォーマットってどこにあったっけ?」

 

ですとか、

 

「XXの社内ルールってどうなってるんだっけ?」

 

という状況で社内で聞きまわったり、イントラの検索をしたけど、すぐに情報にたどり着かず気が付けば30分も経ってた・・・

 

大したことではないかもしれませんが、これが社内全体で起きてると考えれば恐ろしいことです。

 

また、

 

情報にたどり着いてもバージョンが古かったり、アップデートが正しく行われていなかったり。経営が意図する方向に判断が行われない状態であることもあります。

 

一つ一つは細かいことですが、その積み重ねが確実に組織の体力を奪い、全体の生産性を落としますので、規程やマニュアルなどの社内ルールの維持管理は看過すべきものではないです。

 

社内ルールの維持管理は、大企業でもない限り優先順位が落ちがちな業務になりますが、中小企業においても、実は専任者を置いて整備してもよいくらい大事なことだったりします。

 

 

では、どのように社内ルールを維持管理すべきか

 

社内のルール、規程、マニュアルなどはどうあるべきなのか?

私が自分のチームによく言うのはiphoneを目指せ!」です。

 

要は説明書がなくても操作できる、やりたいことができる、

 

それくらいのUXを目指せば正しい方向に向かうと考えています。

実際は「そんなのHOW!?」という感じのことも多いですが(笑)

 

iphoneはレベルが高いので、最低限やるべきことはつきなみですが、

1)全体管理する人を決めること。

  その人が組織変更や2)の責任者の変更などを気にかけておくこと。

2)各社内ルールの更新について責任者を決めること。

3)社内ルールはOne ツール」「One Stop」を心掛けること。

4)バージョン管理をしっかり行い、古いファイルはどんどん捨てること。

5)定期的に社員向けに社内ルールのトレーニングを開催すること。

  新しく入社する人向けは必須ですので、既存社員向けもそこで合同開催すると楽。

 

以上を行えれば、最低限の「金鼓と旗」を組織に示すことができるでしょう。

 

 

次世代の社内ルールの示し方

現状、どこの会社でも社内ルールやマニュアルは紙ベース、文書、テキストで社内周知されていることがほとんどだと思います。

経験上、良くつくられているものでも画像貼り付け+テキストといった感じでしょうか。

 

今後に向けては、5Gによるネットワークの高速化と、アプリやツールの使用がより簡単になっていきますので、社内展開用のマニュアルは動画化が進むのではないかと思います。

 

人が操作している画面を録画してマニュアル化するツールもすでに世の中にはありますし、テキストを機械が読み上げてくれるソフトもありますので、「iphone」化に向けて新たなテクノロジーを積極的に取り組んでいきたいものです。 

 

SiriほどのQualityではないですが、チャットボットを社内問い合わせで活用している会社もどんどん増えてきてますので、より高度化された仕組みを作るチャンスは今後増えていく一方で期待が膨らみます。

 

こう考えると、単純で面白味のない業務と思われがちな社内ルールの維持管理業務もチャレンジしがいのある業務ではないでしょうか。