「制度会計」の機能がどのように経営に寄与するか

 

ルーチン業務、将来AIやRPAに置き換わる業務、などそのValueを理解していない人間からすると軽視されがちな機能であるが、全くもって正しくない見方である。

制度会計はベーシックかつ地味な側面はあるが、経理財務機能の根幹を成す、最も重要かつタフな業務である。

最もタフである理由は簡単だ。「一円も間違えられない」かつ「締め切りを絶対に守らなくてはならない」機能であるからだ。

所謂ゴールキーパーのポジションに似ている。「失点したら。はい終わり(サッカーでは失点即座に終わりではないが・・・)」的な役割を負うため、その精神的負荷は非常に高い。

特に上場会社においては、決算が間に合わないような事態に陥ればレピュテーションの低下や、罰則罰金など、会社に対する実際の損害が発生する。「できませんでした」では許されない世界がそこにはあるのだ。

更に会計基準や税法など様々なルールを適時にキャッチアップ、実務に反映していく必要があり、そのような常に変化に対応しなくてはならない環境下でも、経営が正しい情報に基づいて判断をしていくためには数字を間違えることができないのである。

管理会計や他の機能で使用する数字も、ベースは制度会計で作成された数字が元になる。経営者がパイロットだとすれば、パイロットが見る「計器」そのものである。

そのため、コンプライアンスだけではく経営に資する情報提示という意味でも、制度会計の機能は根幹を成す最も重要な業務なのである。

制度会計に関わる人間、即ち経理、連結、開示担当者等はこの重要性をしっかりと認識して、誇りをもって業務にあたるべきである。粘り強さと根性がないと、間違いなくこの仕事は長く務まりません。