どうすればファイナンスのスタッフの成長意欲を高められるか

若い人たちに成長意欲を持ってもらうにはどうすればよいのか?」はここ数年自分の中の重要テーマの一つであり続けています。

こういったことを考えること自体、自分もつくづくおじさんになったなと思うのですが本当に難しさを感じます。

 

とにもかくにもやる気をもってもらうことが第一なのだと思うのですが、尊敬する偉人先人の言葉を借りるならば:

 

松下幸之助さん

『まず信頼すること

人間は信頼されれば、それに応えようとするもの。信頼してだまされるならば、それでも本望だというくらいの気持ちに徹したい。』(人生心得帖 (PHP文庫)

 

これはすごく正しいですね。自らの経験上も間違いなく正しいと思います。信頼されると人はモチベーションが上がります。逆に信頼されてないと感じた瞬間にモチベーションは下がります。

 

但し、この『信頼する』は結構悩みますね。ダメなら仕方ないといった度量の大きさがあればよいですが、ファイナンスの仕事をしていると数字の間違った資料がレビューに回されてくると(さらにそれが何度もあると)信頼できなくなり、重箱の隅をつつくような数字の細かいチェックを自分でもせざるを得なくなる。結構ジレンマに陥ることがあります。

 

 

永守重信さんの「人を動かす人」になれ!―すぐやる、必ずやる、出来るまでやるには滅茶滅茶いいことが沢山書いてあるのですが、その中でも「鍛え直し、上昇志向を植えつけるのがリーダーの仕事」という章があり、とても考えさせられます。

 

この書籍、1998年初版なのですが、その中ですでに永守さんが『ハングリー精神や大きな夢を持った若者が少なくなってきた』と述べられてて、おいおい俺より年上の世代でもうそんな感じだったの??と考えさせられます。

 

さらに、これだけカリスマ性があってパワフルな永守さんをもってしても、『いまの若い人にハングリー精神を植えつけたり、人の立場で物事を考えていく習慣を身に着けさせることは本当にむずかしい。気が遠くなりそうなぐらい道のりは長い』と・・・。

永守さんがこれだけ難しいと考えてて、自分が簡単にできるわけないよね、と元気づけられるとともに、外から人に火を灯す難しさを改めて感じます。

 

最後に『1回では通じなくても、10回やれば・・・・、10回でダメなら20回やるというのが、わたしの信念であり、執念でもある』と締めくくられているのは、本当に勉強になります。できるまで何度でもやるのだ、という執念が必要なのでしょう。

 

 

では、「なぜ成長しなくてはならないのか?」をどう根気よく説いていくか、ですが、これは人生観がかかわってくるので一筋なわじゃいかないですね。

自分もうまく説明できないことがありました。昇進とか、給料アップとか、もっと周りの役に立てる、とかいろいろ説明してきましたが、どれもいまいちで、しっくりこないなぁとず~っと思っていたのですが40代になって、モノの見方が変わってくるとともに、どうも精神的な方に興味が行きがち・・・

いま、一番シックリくるのは「魂を磨き、より充実した人生を送るため」といういかにも若者受けしなそうな考えです。

 

これは歳とか経験を重ねないとなかなか理解しずらいかもしれません。

 

稲盛和夫さんの(なぜか関西の経営者ばかり好きみたい・・・)[新装版]稲盛和夫の哲学 人は何のために生きるのかには以下のように述べられています。

 

『立身出世をしてみたとて一代かぎりです。名声も財産も地位も、死んであの世にもってはいけません ~ 私たちが死んで残る魂、意識体そのものの価値が問われるのが、人生だと思います ~ 生きているあいだにどのくらい世のため人のために貢献したか、つまり生きているときにどのくらい善きことをしたかが、万人に共通する魂の価値だと思っています。』

人間性を磨くこと、すなわち魂を磨くこと、それが大事なことであり、魂を磨く、つまり人間性を高め、素晴らしい人格を身につけることこそが、人生の目的なのです。』

 

これっ!(笑)と私自身にはとてもシックリきてます。

が、これをそのまま伝えても若いスタッフにはシックリこないようが気がします。

 

 

ちなみに、自分のこれまでの経験からすると、一般的な日本企業のスタッフ層は総じて自分のスキルを高める、勉強意欲のようなものはどうしても意識が薄いように思います。

コンサル会社だと若いうちにスキルを高めたり、意欲的に仕事しないと干されますのでみな必死。

外資だと、そもそも海外経験のある人が多いせいか、キャリア意欲が高い人が多いように思います。Up or Outという世界観は今もありますよね。

  

日本企業だと若い人の成長意欲が薄いのは

なぜか・・・

 

と考えても見るのですが、つまるところ会社の環境(上が詰まってて昇進機会がない。給料がなかなか上がらない。などなど)だけではなくて教育の問題もあるような気が最近してます。

あと、本当に意欲の高い人や優秀な人はもはや一般企業には就職せず、学生のうちに企業しちゃうような世の中になってきているので、そのせいもあるのかも。 

  

日本企業のファイナンスの人は言い方は悪いですが、『持して死を待つ』状態の人が多いように思います。勉強に励まない、変化をうとがる、そして変に居心地がいいのかわかりませんがチャレンジしたがらない・・・

 

ダイバーシティーが叫ばれる昨今ですが、ダイバーシティーが広がれば広がるほど、それは働き方が 自由になる、ということだと思います。

それは雇う企業側にとっても、働く社員側にとっても。

 

自由になる、ということは自己責任の領域が同時に広がることになりますので、自分を高める、または差別化する、ということに無頓着でいると職を失ったり、給料が上がらなかったり難しい局面に直面するのではないかと本気で思うのですが、そのあたりの危機感の感じ方も人それぞれなのでしょうね。

 

こんなことを言い出すのも、自分がおじさん世代になってきたからなのか・・・

 

ですが組織を預かっている以上、自分のチームの人たちはしっかり成長してもらいたいので『1回では通じなくても、10回やれば・・・・、10回でダメなら20回やる』というつもりでコミュニケーションして行こうと思います。