実践FP&A講座:営業が出してきた売上予測を検証する

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経理財務の機能として、数字の妥当性の検証があると思います。

例えば営業が出してきた売上予測について、経理財務が検証することはあるでしょうか。

そもそも営業や現場が強く、管理部門のパワーが弱い場合は検証する場面すらないかもしれません。

グローバル企業ではファイナンス部門がこの予測の検証を行うのはかなり一般的です。営業部門よりも営業に詳しい、わけにはいかないので、数字で、マネジメント視点で、見たときに妥当であるのかを確認するのです。

それをもってファイナンスは責任も持ちますから、ファイナンスがNOといえばその予測は差戻または採用されないことが殆どです。

 

では、ファイナンスはどうやって、その妥当性を検証するのでしょうか。皆さんはどうされますか?

色々な切り口があると思いますが、ここでは数字で単純に合理的でかそうでないかを確認する方法を記載します。

 

(例題)

営業部の山田さんに2020年3月20日時点で、月間売上見込みについて聞いたところ、「5,000万円くらいかな~」という答えでした。あなたはFP&Aの担当者として、上司に今月の売上見込みを正しく報告しなくてはなりません(そうしないとあなたの評価に響きますし、経営判断を間違えます)。5,000万円のまま報告してよいか、検証してみることにしました。

今日時点での3月の売上は2,000万円であり、直近2年間の日売りは以下の状況でした。

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短期的にトレンドが変わるビジネスの場合(主にBtoC)

3月が5,000万円とすると、?の箇所が272万円も必要になります。昨年同時期の実績、今年のこれまでの実績からみても異常値です。

考え方:5,000万円ー2,000万円=残り11日で3,000万円必要。すなわち3000万円÷11日=272万円/日売りが必要になる。

そのため、営業の予測を信じるには「これまで実施していない大規模なキャンペーンや何かしらの上振れ要素」がなくてはならないことになります。数字に見えない「活動」を確認していくことが必要です。

 

急にトレンドが変わらないビジネス(主にBtoB)

直近だけではなくて、移動平均で大きな流れを見た方がよい場合があります。
一般的には過去12か月の移動平均との比較をします。この「12か月」という期間は、その事業の特性から「ベストな期間」を判断しなくてはなりません。プラント製造や造船業など、だとあまり12か月間での平均も意味を成さないでしょう。

この確認方法においても、過去102万円前後で推移してきているなかで、3月から急に107万円(と+4.5%増)になりますので、やはり数字のトレンドだけでは見えない要素が何であるのか、を確認しなくてはならなそうです。

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以上、数字による検証方法をご紹介しました。営業や事業側に数字の「おかしさ」を指摘する際ですが、「間違っている」と決めつけないで「あくまで論理的に数字だけで判断するとこうなる、今までと違う売上の押し上げ策があるならば、それを教えてほしい」といったコミュニケーションが望ましいでしょう。数字だけでの試算はどれだけ正しく見えても、机上での議論に留まるからです。