FP&Aとデータ・サイエンティストの共通性

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テクノロジーや働き方の発展とともに、経理財務の分野ではFP&Aが、データ分析の分野ではデータ・サイエンティストが各々の業界においてはバズワードとなっており、また、企業における人材ニーズも高まっていますが、それぞれ実は似ているところがあるように思えたので、求められる役割とスキルを比較してみました。

 

■ミッションの比較

それぞれが全うすべき役割については、数字やデータを使って、ビジネスに貢献するという観点では似ているところがありそうです。

  • FP&A:企業目標を達成するための一連の活動が、正しく遂行されていることを数値で確認し、経営のPDCAを実践する機能。戦略・予算策定、予実分析、業績・KPI報告、その他の分析・改善を行う業務が含まれる。(私の定義です。ご容赦を。。。)
  • データサイエンティスト:データサイエンス力、データエンジニアリング力をベースにデータから価値を創出し、ビジネス課題に答えを出すプロフェッショナル(データ・サイエンティスト協会

 

■役割と機能の比較

役割と機能については、類似点が多いです。「専門性」にのみ(のみとも言えるし決定的な差とも言える)差があります。

  FP&A データ・サイエンティスト

似ている

企業のビジョン、ミッションを理解した上で、企業目標と一体となった事業計画や予算を立案し、PDCAを実践できる。

課題背景を理解した上で、ビジネス課題を整理し、解決する力がある。

 

異なる 会計、税務、内部統制、統計学などのファイナンス系の知識を持ち、使う力がある。 情報処理、人工知能統計学などの情報科学系の知恵を理解し、使う力がある。
似ている 数字に強く、財務値やKSF、KPI等をロジカルに分析することで数字に意味を持たせ、業務改善や問題解決を実行することができる。

データ・サイエンスを意味のある形に使えるようにし、実装、運用できるようにする力がある。

 

似ている プロフェッショナルとしての行動規範を持っている。 プロフェッショナルとしての行動規範を持っている。
似ている 論理的思考と統計学の理解がある。

論理的思考と統計学の理解がある。

似ている グローバル企業で海外子会社管理する場合、外資系に勤める場合などに直面するので、英語力は不可欠。

プログラミング言語からして、一定の英語力は必須。

 

 

 

■ 業務における課題解決のアプローチの比較

課題解決のアプローチは同じですね。コンサルとかも同じだと思いますが、下記はデータ・サイエンティスト協会出元。FP&Aはルーチン業務(予算策定や予実管理など)の割合がデータ・サイエンティストより多いかもしれません。

 

■給与水準

給与水準も似ています。感覚的にはもっと高給だとは思いますが、以下indeedのサイトでの平均値。東京で700万円ほど(2020年3月時点)

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ホットなだけに経理や、ふつうのエンジニアと比較すると高いです。

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■結論

FP&Aの人間は、データ・サイエンスを勉強するとデータ・サイエンティストになれる。逆にデータ・サイエンティストも会計などファイナンスの基礎を勉強すればFP&Aをやれる。意外と親和性が高いと言えるのではないでしょうか。

但し、エンジニアリングもファイナンスも両方できる人はアナリシスを行うビジネスパーソンとしては最強になれそうですが、そうなるには相当の労力が必要だと思われますし、その割に「両方できるから給与が倍」になることもないでしょうから、何れか一方に専門特化していくのでしょうね。

 

■2021.12.7 追記

DSのスキルチェックリストは更新されています。

www.datascientist.or.jp