経理財務機能とSociety 5.0(AI)の社会

今後10~20年後にコンピューター技術によって自動化され仕事を失う職業のメディア露出が多いが、2013年に発表された「The Future of Employment - Oxford Martin School - University of Oxford」に基づく情報が多い。

当論文の71~72ページに職能ごとに、仕事がテクノロジーに代替される確率の記載がある。経理財務の観点でみれば、税務申告代行者(Tax Prepares)はその99%が、簿記・会計・監査事務員(Book keeping, Accounting, and Auditing Clerks)は98%が自動化されるかもしれない、と記載されている。

この数字が独り歩きし、あたかもオフィスワーカーの仕事が失われるような論調もあるが、それはやや性急すぎる考える。確かに単純作業でルーチン化できるものは自動化できるので人手による作業は減るかもしれない。但しそれは「今は作業に忙殺されていて、やるべきである、またはやりたいができていない」仕事に時間をシフトできることを意味するのであり、仕事がなくなり人間が失業するような議論ではないと捉えるべきだ。

経理財務の業務領域だけで考えれば、特に日本においては、企業において人員(=人件費)が99%も削減できているような破壊的イノベーションは起きないのではないか。RPAや画像読み取りで経費精算できる、等々の業務レベルでのテクノロジーの導入は進むであろうが、社会や業界全体を巻き込むようなイノベーションは残念ながら総論賛成個別反対で進みづらく、また、全てが全自動で人間がいらないレベルのテクノロジーが市場にでてくるタイミングはいつ頃になるかイメージが難しい。例えば、新しい通信技術である5Gも技術的には利用可能でも、全国で使用するにはインフラの整備が先だって必要で、それらのインフラが整うまで時間がかかるといった議論もあるくらいだ。

堀江貴文氏は東洋経済の記事で、「AIに仕事を奪われると考えるのはダサい」と言い切っているが正にその通りで、その主張は経理財務の領域においても当てはまる。

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