経理財務機能とテクノロジーの展望

これまで、経理財務の求められる各機能についてみてきたが、今後もそれは不変であるとは言えないだろう。2019年現在、巷はSociety 5.0.に代表される新たなテクノロジーのビジネスへの利用の話題で持ち切りであるが、経理財務領域においてもAI、Robot(RPA)、OCR、Big Dataなどを代表とするテクノロジーの導入について、働き方改革や人手不足と伴って非常に関心度が高くなっている。(セミナーとか多すぎ。。。)

「AI」や「ロボット」と聞くと如何にも「すごそう!」であるが、具体的な仕事のアウトプットとして何が生まれるのだろうか。これまで述べてきた経理財務機能への期待値、その役割に変化は生じるのであろうか。

1990年代よりSociety4.0(IT化が高度に進んだ社会)が進んだが、ここ10~20年において経理財務の仕事にはどのような変化が起きたのか簡単に振り返ってみる。

 

・ペーパーレス化:

昔は本当に紙と電卓の世界で仕事をしていた。1980年代に作成された全てが手書きの決算書類を見たときは本当に驚いたものだ。果たして担当者が細かい計算間違いを犯しても、だれも気付かないことも多かったと考えられる。エクセルに置き換わったから解決する問題ではないが。。その他、判子の代わりに電子署名が利用されることも多くなった。まだまだ判子やサインの世界は残ってはいるが時代遅れな感が否めない。

 

経理システムのUX向上:

SAPやOracle勘定奉行など、エンジニアのようなITの知識がなくても経理システムを簡単に扱えるようになった。一昔前は真っ黒の画面に緑の字のモニターで、その道の職人にならないと安易に触れないようなシステムが業務で使われることもあった。

 

ERPシステム:

ERPを導入すれば会計データだけでなく、プロセスのデータも一つのデータベースで管理されるようになるため、取引の上流データと会計データを容易に紐づけられるようになった。また、ERPをグローバル展開できている企業においては、その集計作業の大部分につきエクセルから脱却することに成功している。

 

・インターネットの普及と高速化:

社員は場所を選ばず働けるようになった。飛行機でも新幹線でも、自宅でも。スマートフォンでも。。。スマホテレビ会議に出席するなど、昭和の人間からすると、さながら未来的だ。

また、昔は若手社員が自社または競合の記事を朝一で切り抜いてファイリングするような仕事も存在したが、未だ行っている企業はないであろう。

 

・チャットツール:

Eメールに留まらずSlackやCommunicatorなど、オンラインでスピーディーにやりとりするコミュニケーションツールの利用が普及した。ファイル一つやり取りするにしても、「送り状を書いて、FAXして・・・」の時代と比較すると圧倒的に生産性が高い。

 

恐らく20年前の経理財務の人間は、こういったことが実現している職場を想像することはできなかったのではないだろうか。

インターネットで誰もが世界中の情報にアクセスでき、テクノロジーイノベーションがいたるところで起きている現代において、私たち自身も10年~20年後の仕事をイメージするのは非常に難しいと考えるべきだろう。