2019年のCFOグローバルビジネスアウトルックサーベイ

グローバル・ビジネス・アウトルック・サーベイ・ジャパンのサイトにて、CFOサーベイの結果が公開されています。

今回のサーベイで得られた主な調査結果は以下のようにサマリーされています。


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・世界的に前期まで楽観度は悪化傾向にあったが、今期は楽観度が回復した地域が多かった。しかし、日本のCFOの楽観度は他の地域と比較して低いレベルにあり、自社業績に対する楽観度も前期より低下した。

・本サーベイのディレクターであり、フュークワ・スクール・オブ・ビジネスのキャンベル・R・ハーベイ教授は、「2020年、2021年の景気後退は予期しないというCFOは無鉄砲であると言わざるを得ない。景気後退はCFOのコントロール範囲外ではあるが、自社への影響に関してはCFOがかなりの部分で対処できる。今回は、CFOが景気後退に対していかに準備するかを試されているといえるだろう。」と述べている。

・日本は、売上、利益ともにマイナス予想であるが、資本支出や技術投資、研究開発費に関しては増加予想となっており、長期的成長に向けた投資意欲は消えていない。

・日本や他のアジア地域では、既に景気は後退していると回答したCFOが3割にのぼり、世界的に最も多い。アジア全体に景気減速感が広まり始めている。
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日本の政治・経済環境も踏まえた結果かもしれませんが、多分に日本人の堅実(かつどちらかというと楽観的より悲観的)な特徴が回答に表れているようにも思いますが、日本のCFOは殆どの方が既に景気が後退している、または2020年度中に景気が後退すると回答しています。2020年はオリンピックの開催がありますが、景気は悪くなるとみられているようです。

1964年の前回東京オリンピックでは巨額のインフラ投資やテレビ需要があり、大会開催前までは五輪景気と呼ばれる好景気がありましたが、大会後はその反動で深刻な不況に見舞われ、倒産企業数は3倍に急増し、昭和40年不況と呼ばれる事態になりました。

50年以上前の状況と単純比較はできないでしょうが、需要の盛り上がりとその後の停滞は同じ傾向があってもおかしくないですね。

 

この経済環境の変化に備えて実施していることを各地域別の結果を同サーベイではまとめてくれているのですが、興味深い内容になっています。

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コスト削減は万国共通。コスト削減=>成長減退=>コスト削減。。の負のスパイラルに陥らないようにするためにもどこでもファイナンスの人間の腕の見せ所ですね。嫌な役目ですが(笑)

そんな中で日本企業の回答が面白いのですが、「主要事業への集中」と正反対である「事業の多角化」の両方の回答が高くなっています。柳井さんが本業に集中するためソフトバンクの社外取を退任されるとのことですが、個人的には「事業の集中」が正しい施策だと考えます。多角化は戦略のセオリーから外れるから、ということもありますが、不景気の中で投資を分散するのはホントに危ないでしょうね。

そんなことはCFOの方は理解されているでしょうから、そういった施策をとる企業は、おそらく本業がデジタルトランスフォーメーションや破壊的な環境変化があって止む無しなのかもしれませんね。。