AIがやってこようがこまいが引き続き重要かつ必要な経理財務スキル

AIの世界がやってくる来ないにかかわらず、経理財務として重要になっていくスキルとは何でしょうか。

 

経理財務としての専門的スキル

大前提としては、ベーシックな会計・税務スキルは必要になります。ビジネスが動いたときにどういったインパクトがPLやキャッシュフローに出てくるか。ここをしっかりとビジネスパートナー(営業部門やマーケティング、IT部門等々)に説明してあげないと、彼らは判断を容易に間違えます。

関連する資格を取ってスキル習得に励むのは大事ですが、これは実務経験がないと有用なスキルにはなりえません。知識と実学は異なります。因みに簿記3級では即戦力になりえませんし、万が一転職となっても殆ど差別化にならないので、勉強するなら最低限簿記2級~でしょうか。

AIの世界になったとしても、例えば新規事業を行う際にて経理財務的な視点でしっかりと大事なところが抜け漏れなくアドバイスできるのは、やはり実務経験のある人間になると思われます。それは市場や競合、組織と人、カルチャー、今後の世の中の動きなど定量化しずらい情報を組み合わせながらアドバイスを行うべき必要があるからです。

例えば業界の経理勉強会で他社のベストプラクティスの共有が雑談ベースで出て、それをもとに社内に共有して業務変更を行う、なんていう芸はAIには当面できないでしょう。そもそも他社の社内情報はデータベース化できませんから。ただし、人間みたいなアンドロイドができたら話は別かもしれないですね。

 

高い分析力。定性も定量も。

世の中のデータは増すマスたまっていく一方で膨大になっていきますので、効率的にロジカルに数字をつかって分析する力が絶対的に必要です。具体的には、定量的な分析に際しては目的や仮説をしっかり定義してからスタートしたり、ロジックツリーで数字を分解していく仮説からスタートするなど、いくつか「型」があります。

定性的な分析については、最も経験が要求されます。要は社内外の情報に常にアンテナを立てて、定量分析の結果と組み合わせて、仮説を検証したり事実確認するスキルです。例えば人件費が予算より少ない=>即座に人員数が予定より少ないはずだ、と考えられるか。売上が増えた場合、売掛金が増える=>貸倒引当金が増えるはずだ、と即座に考えらえるか。

分析力を養うには「型」をちゃんと勉強しておくとよいかもしれません。版は違いますが私はこの書籍がすごくわかりやすくためになりましたので紹介しておきます。

定量分析実践講座―ケースで学ぶ意思決定の手法

 

こちらも必須ですね。特に管理会計に携わる人には必読だと思います。仕事のスピードや分析結果の質が大きく変わると思います。

イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」

 

ものごとに対する柔軟性

AI云々に関わらず、世の中の動きは激しく、今後どういった世の中になっていくのはとっても読めないですね。自分の子供にどんな教育を受けさせてあげるべきか、でさえとっても悩ましい。

AIやRPAといったテクノロジーはどんどん新しくなるでしょうし、それを受けて今であれば勘定奉行やSAPやOracleなどが経理システムでは活躍していますが、FreeeのようなUXの優れたシステムもどんどん出てくるでしょうし、いろいろなアプリを組み合わせて業務を構築していくのでしょうね。そうすると、今までの業務標準化!やERP統合!なんて考え方もベストなやり方ではなくなるかもしれません。

労働力低下も現場で感じますね。最近は国内でも外国人の方(まだ日本語できる人ばかりですが・・・)をオフィスでよく見かけます。私のチームにも数名の外国人がいます。彼らはバイリンガルトリリンガルでとても優秀です。いっしょに働く仲間も多国籍化するわけですから、働くことに対する意識やカルチャーも変わっていくと思います。

そんなわけで、AIが来ようがこまいが、世の中は激しく動きますので、柔軟にものごとを捉え、「変化」できる力がないと淘汰されていくのは自明ですね。。。変化できないと所謂「使えないおじさん・おばさん」ともいわれかねません。

 

人間力

長いこと仕事をしているとわかってくるのですが、何を成すにも人間力の強弱で大きくものごとが変わるものだと思います。これはホントに機械で測れないエリアですね。

人間力」は、「社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力」という定義らしいです。自分の感覚とも似ています。

リーダーとしてキャリアを積んでいくのであれば、メンバーが着いてきてくれないといけないですし、リーダー間で交渉できる力も求められますよね。

いちスタッフとして専門家としてキャリアを積んでいくにしても、組織・社会とのかかわりの中で、周りを動かしていくことが必要な場面があるはずです。

「リーダーシップ」や「魅力」というような言い方もできるのかもしれませんが、ロジックで何ともできない領域。人として真摯に学び、成長をしていかなければ得られない力はとっても重要だと思います。