それでも当面、経理業務が人からテクノロジーに完全に代替されない理由
AI、RPA、OCRなどをフルに活用すれば、もはや人ではいらなくなるようにも思えますが果たしてそうでしょうか。
「支払のための請求書の伝票処理から支払いまでがテクノロジー化した場合」について前回書きました。実現すると人間の登場する機会は業務において減るかもしれません。
しかし、AIやテクノロジーはまだまだ人が教えないと動きませんし、人間の力がないと実際はうまく行かないことが多いと考えます。
50年後は分かりませんが、現段階では人間のパワーは絶対でしょう。
なぜでしょう。
まずはじめに現時点のAI、RPA、OCRなどなどはいずれも人間がメンテナンスしなくてはならないので、人の手を離れることができません。
最初に業務プロセスに入れ込む際には教師データを準備したり、自動化のワークフローを作成したり、アルゴリズムを設定したり、人じゃなければできない作業ばかりです。
導入完了後も、法令や業務の変更にあわせてメンテナンスが必要ですし、いざ動かないなどエラーが生じた際も人でで何とかするしかありません。
次に社会的な要因もあります。中国都市部ではすでにキャッシュレスな社会が出来上がりつつある中で日本はまだまだ進みが遅いです。このことからもわかるように、日本社会ではテクノロジーを使うための環境がなかなかととなわないと考えられます。例えば請求書がすべてなくなり、すべてPDFなど電子データでやりとりする世のなかはまだまだ考えにくいですよね。
データをつなげるインフラも微妙です。例えば銀行と自社システムをつなぐだけでも、簡易的にできるわけではなく、各社ようやくAPIでつなげるようになったり、などそのレベルです。
技術的な機能以外でも、これからの経理財務にはいわゆる「コンサル機能」が求められるのであり、エラーが起きたときの対処、プロセスエラーに関しては、業務の流れやデータの流れを理解していなければならないし、コミュニケーションエラーであればステークホルダーに丁寧に説明してリカバリーしていかなくてはならない。
いずれも人間じゃないとできないことばかりだと言えますね。