英文ファイナンス用語:Burn Rate と Cash Runway

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Burn Rate

スタートアップや新規事業のファイナンスじゃないとあまり耳にする機会はないかもしれません。「バーンレート」と読みます。

日本語では「現金燃焼率」

 

日本語にするとなんとなくイメージがわくかと思いますが、要は現金を燃料と考えた場合に、どの程度の燃費か?を表す指標です。今持っている現金で十分安全か?を見るためのものと言えます。

 

要は、毎月いくら現金が出ていくのか?という話です。

 

例えばこんなキャッシュの状況の場合

キャッシュの状況の例

収益    +300

変動費   ー200

固定費   ー500

収支    ー400 

 

現預金残高 2800

 

Burn RateはNet(ネット)とGross(グロス)があります。

 

まずNetからですが、毎月のキャッシュアウトが400なので、Net Burn Rateは400となります。Netは相殺のことですので、収入と支出を相殺した後のBurn Rateという意味になります。

毎月の収入見込みの確度が高いのであれば、このBurn Rateを使って今後のキャッシュの見込みを測って大丈夫でしょう。

 

次にGrossですが、収入の見込みが不安定な場合は、支出の金額だけを用いてBurn Rateとすることがあります。この例で言うと合計700の支出がありますのでGross Burn Rateは700ということになります。

もっと細かく見る場合、変動費は除いて固定費のー500だけをGross Burn Rateとするケースも考えられますが、そもそもが安全性を見るための指標ですのであまりお勧めはしません。

 

 

Cash Runway

つぎに、Burn Rateとほぼほぼセットで使われるCash Runwayについて。

キャッシュ・ランウェイと読みます。

日本語だと「ランウェイ」とだけ言われることが多いです。

 

あとどれくらい生きられるのか?キャッシュが枯渇するまで、どれくらいの期間が残されているのか?を表す指標です。

 

前述の例で単純計算してみましょう。

 

 

Gross Burn Rateで計算した場合

残りの現預金 2800 ÷ 毎月の支払 700 = 4カ月分

 

Net Burn Rateで計算した場合

残りの現預金 2800 ÷ 毎月の支払 400 = 7カ月分

 

と、GrossとNetで大分異なった結果になります。

CFO経理財務パーソンならGrossのコンサバ値はしっかり押さえておきたいところ。

 

なお、実務では毎月出ていくキャッシュについて、より精緻化を試みることがあります。

すなわち、フォーキャストを使って、より正しかろう予測キャッシュアウトを使って試算したり、または過去数カ月の平均値や当月のワンタイムの事象を取り除いて実力値ベースでの毎月のキャッシュアウトを計算したり、などです。

 

「生き残れる期間」というシビアかつセンシティブな指標になりますので、精度を目指しつつも保守的な方に少し傾いた数字を用いるのが正解と個人的には考えます。

 

皆さん自身の事業では違うものの見方が正しいかもしれませんし、あえて出したいメッセージやストーリーに即した数字をはじきたい場合にはこれに限りませんね!