Z世代が目指すべき経理部門のキャリアを考えてみた

私は昭和生まれのX世代なのですが、就職氷河期を乗り越えたこともあって、いまだに「24時間働けますか?」の感覚が抜けてない人間です。

 

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ですが、その考えはもう古い。

 

働くことで生きがいを感じているのであれば24時間フル稼働できるが、世の中そういう仕事に出会えないこともしばしば。

 

スタートアップや若い人たちを見ていると、もはや企業戦士(=日本において企業のために粉骨砕身で働く勤め人であるサラリーマン)という言葉も天然記念物・・・

 

現状を考えると、これからの時代を担うZ世代の活躍が日本の再興に向けて不可欠です。勿論それはファイナンス経理財務の仕事においても。

 

そこで!

 

若者が経理財務的なキャリアを目指す場合、どのようなスキルが必要で、テクノロジーの変革期を経てどのように仕事内容が変わっていくのか?を考えてみたいと思います。

 

 

目次

 

 

 

1. Z世代のはたらくモチベーションは?

まず、2021年現在、若手社会人として世の中に出てきているZ世代(2000年前後~生まれ)の働くモチベーションは何でしょうか?

メディアや書籍で目にする内容は、現場感からも相違はないところ。すなわち:

 

世代の働くモチベーション

「安心できる環境で、十分な給与を得たい」

「多様なスキルを素早く学べる環境で働きたい」

ワークライフバランスを充実させたい」

「仲間のために働きたい」

「世の中の役に立つ目的のビジネスに携わりたい」     etc... 

 

 

特に1点目は日本の就職市場において、顕著に表れています。

公務員が就職人気ランキングで3年連続1位だったり。

www.riskmonster.co.jp

 

 

安定を求める傾向がある一方で、起業する学生数も増えていたり。学生ベンチャーの数は年率10%成長前後で増え続けています。

「世の中の役に立つことをやりたい」と考える優秀な人は学生のうちからビジネスをはじめちゃう傾向が最近強い気がしますね~。

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[METI: 令和元年度大学発ベンチャー 実態等調査 結果概要 ]

 

 

安定と冒険と多様な感じもしますが(むりやり)まとめると、「仲間や社会の役に立つ仕事を楽しくやりたい!」という人間として当たり前に望むようなことが素直に表れているのかと思います。

 

「Z世代め、この甘ちゃんがー!」と思った人は、昭和感が抜けていないかと(笑)

 

 

2. テクノロジーによる社会の変革期にZ世代が身につけておかなくてはならないこと

今、世の中は AIxデータという技術革新による変革期にあります。

(詳しくは名著 シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成 (NewsPicksパブリッシング)参照。※我が家は娘がまだ小学生なので難しいですが、Z世代には絶対読んで欲しい内容。)

 

そんな変革期において、若者たちはどんなスキルが必要と考えているのか?下記デロイトの調査を見ると、デジタルネイティブが多いから?か、日本の若者はグローバルと比較して「テクノロジーへの精通」はあんまり成功要因として重要視していない模様。

逆にインクルーシブネス(個々の人材の違いを⽣かし、より良い成果を上げること)が高いのは、なんだか人間的で嬉しい。

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[Deloitte: 日本と海外のミレニアル・Z世代の意識調査]

 

 

既に革新的な技術の導入は進んでいるわけで、コロナの影響でもっとこれが加速するのはもう間違いがないです。日本は大分遅れてるけど。

そんな世の中で、Z世代が身につけておくべきベーシックなスキルは何でしょうか?やっぱり「テクノロジーへの精通」は不可欠なんじゃないかな?と思います。

(本稿は経理財務のキャリアを考えたいですが、まずは社会人としての基礎的なスキルについて)

 

これも前述のシン・二ホンを引用するのですが(ホントに読んで欲しい・・)

 

「問題解決力(問題を定義する力含む」と「AI・データのリテラシー」はまじで必要です。ビジネスの現場にいて間違いなくそう思います。これらがないと、「使えないおっさん・おばちゃん」になってしまう・・・ 

 

経理・財務の分野においても、技術革新は既に起きており、多くの業務が正に変革の最中にあると言えます。一例をあげると:

最近変革が実際におきた経理・財務業務の一例

・未だに紙にハンコを押すことがあるが、電子署名や電子押印が増えてきた。きっと10年後には「紙にハンコ押すなんて信じられないっ!」時代になっている。 

クラウドワーカーとリモートワークで働くことが普通になってきた。

・イケてる会計システムだと、勘定科目などを予測して提示してくれるので仕訳入力が楽ちんに。

・パソコン内でのコピペや計算など単純作業はツール(RPA)を使えば、だれでも自動化できるようになった。10年度にはRPAなんて単語がなくなっていそう・・

・他部門からの問い合わせをロボットがチャットで返してくれるように。完全じゃないけど。。そのうち完全ロボット化しそう。

 

 

 そのほかにも、今後でてくるであろう技術革新は目白押し。

「AI・データのリテラシー」を持っていれば、どんなビジネス課題がテクノロジーで解決できるのか?を判別できるし、実際に解決できる。そのベースがない人は「使えない」感じになってくる。

 

今後出てくる経理財務分野におけるテクノロジーについてはこちら:

tm999.hatenablog.com

 

 

3. 変革する経理・財務部門でZ世代が目指すべきキャリアは

テクノロジーの発展によって、Z世代が企業の中核を担うようになる頃、経理・財務部門が果たすべき役割も大分様相が変わっていると思います。

 

例えば、これは会計士向けの内容にはなりますがACCAが示している今後求められるであろう未来のファイナンスの役割です。

会計士に限らず、企業内の経理財務部においても当てはまる考え方で、伝統的な会計・財務・税務といった役割の切り口とは一味も二味も違います。

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[ACCA:Rethinking careers | ACCA Global を元に筆者翻訳]

 

 

現時点で経理財務に携わる人が見てとピンとこない領域がありますので、1つづつ見ていきたいと思います。

 

 

サステナビリティの先駆者(The sustainability trailblazer)

しっかりとした業績管理ができれば、起業の持続的な維持と成長に大きく寄与できる。ファイナンスが提供する業績データと分析結果は必要不可欠な情報であり、企業のサスティナビリティを引っ張る先駆者としての役割を担えると言えます。

現代においても、業績管理を主な業務内容とする管理会計やFP&A業務がこれに該当すると言えますが、そこに期待される役割は今後も増大していくと考えられます。

 

 

保証の提唱者(The assurance advocate)

ビジネスリスクの変化が激しいため、リスクマネジメントやコンプライアンスに係る業務への期待は高まる一方にあります。各種監査業務も、過去の証明よりも、将来発生する可能性のあるリスクに焦点が当たっていくことになります。

リスク管理コンプライアンス保証の機能を担う上で、リスク定量化や業績へのインパクトの評価、リスクを低減するための内部統制に関する知識など、ファイナンスの経験は活きてきます。そのため、将来はリスク管理に係るキャリアパス経理財務の領域でも増えてくると考えられます。

 

 

データのナビゲーター(The data navigator)

正しく信頼できるデータは意思決定をする上で非常に重要な要素ですが、経営者はより素早く&インサイトのある情報提供に貪欲なもの。それを実現して、会社の置かれている事業環境を説明したり、企業としての目指す姿を語れる役割がもっと求められるようになるでしょう。というか現代でもこれができないとNGではある

「社内外への語り」の機能としては現代のIRとPRが該当しますし、「素早く&インサイトのあるデータ提供」の機能としては今で言うFP&Aやデータサイエンティストが該当します。

これらの役割を一人でこなせる人材は現代には殆どいないはずですが、テクノロジーをうまく活用することでスキルを補填できれば、できる仕事なのかもしれません。

将来的にはデータサイエンスのできる人材が増えてくる(はずな)ので、キャリアパスとして形成されてくることが期待できます。

  

 

ビジネスの変革者

しがらみのないZ世代は、ビジネスの変革を加速させることができると期待されています。実際に変革が起きていることが世の中で可視化されてくれば、企業の規模に関わらず、若手への期待値は大きくなるでしょう。

これは仕事そのもの、というよりは基礎的な汎用スキルとしてとらえた方がいい機能になりそうです。コンサルなどの社外の専門家であっても、社内のプロジェクトチーム参加者であっても共通のスキルになってくるでしょう。

 

 

デジタル化の司令塔

最後は、2021年時点ですでに熱を帯びているデジタル化に係るキャリアパス

ここはデジタルネイティブであるZ世代が社会に本格的に出てくるタイミングで、様々なビジネス課題がデジタル×AIの力で解決されていくことが、経理財務の領域でも期待されます。

企業のデジタル化を推進する司令塔という枠割は、今後10年は非常にニーズの高い職種になってくると思われます。

まだ10年も大丈夫なの!?と思われるかもしれませんが、日本は残念なことにデジタル化がとっても遅いです。公官庁がFAXやめられないなんて言ってる国ですから。(10年後にはFAXって何?となっていることを願う・・) 

sakisiru.jp

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