インフルエンサーの反社・与信チェック方法とツールまとめ
企業においてもインフルエンサーやライバーを活用したマーケティング手法が一般的になってきています。
筆者も経験があるのですが、その場合はほぼ「個人」と取引を行う感じになります。
インフルエンサーマーケティング会社を通して活動を行うにしても、「まずい」インフルエンサーを使うことで企業イメージにダメージが生じてしまっては、元も子もありません。
ダメージを受ける例を挙げると:
・フォロワーかぶりで、想定していた規模の結果が出ない
・「コピペをしない」程度の常識が通用しない
・過去の発信に問題があり、炎上を招いてしまう
・「炎上マーケティング」を積極的におこなっている
・自分の身の丈に合わない風呂敷を広げてしまう
・影響力や交友関係を「盛って」いる
・インフルエンサー界隈での評判が悪い
(出典:「モンスター・インフルエンサー」事例集、ウソ・炎上発言・コピペ投稿… | News&Analysis | ダイヤモンド・オンライン)
期待していた効果がでないだけならまだしも、炎上になって企業やブランドイメージにも影響の出る会心の一撃はなんとか避けたいところです。
100%避けることは無理でも、企業としてできるリスク管理は実施していた、と説明できることは大事なことだと思いますので、如何に取りうるインフルエンサーなど個人のリスク評価方法をまとめました。
(いくつかは企業実務で私も使ってます)
目次
1.インフルエンサーマーケティングの会社に依拠する
インフルエンサーマーケティング会社がインフルエンサーを調達するにあたってはそのほとんどが審査を行っているので、その審査能力に依拠する方法があります。
各社とも、審査や契約時にインフルエンサーに利用規約を課しています。
一例としてToridoriやOTONARI、FindModel等の規約はこんな感じで、どの会社も類似した内容です。
・意図してクリックさせる行為、虚偽、スパムなどの禁止。
・犯罪行為、法令違反の禁止。
・反社会的勢力との関係がないこと。
・損害賠償責任。
インフルエンサーマーケティング会社によるチェックに依拠したとしても、契約で損賠を求めても、自社にダメージを受けた場合は外注先の問題ではなく、自社の問題になることは避けられませんので、あまりお勧めできる方法ではないです。
社内リソースは超ミニマムで!という会社方針があればとりうる選択肢だと思います。
2. 与信・反社チェックツールを利用して、できる範囲で確認する。
2.1 RoboRoboコンプライアンスチェック
SBI証券が監修、上場企業品質のコンプライアンスチェックを実施できるクラウドサービス。
見た目もわかりやすく、インターネット上ですぐに利用開始できます。
チェック単価が安価であることから、とてもお勧めできるツールだと思います。
voicyなども利用していることから、インフルエンサーのチェックにも適しているかもしれません。
2.2 ネットの履歴書
ソルナ株式会社が提供する「ネットの履歴書」。
こちらは社員採用で使うことを想定されたサービスだと思いますが、徹底的に「個人」を調査してくれるサービスですので、インフルエンサーと直接契約する場合には、調査に利用できるサービスになりそうです。
コストはそれなりにかかります。
ミスマッチな社員を採用することを考えればお安いものですが。
2.3 アラームボックス
アラームボックス株式会社が提供するアラームボックスは、ガッツリ調査したい場合にお勧めできるツールです。以下のように、かなりしっかりと、過去3年分の財務情報まで調査できます。
パワーサーチで分かること
- 基本情報:代表者や資本金、従業員数、URLなど会社の基本的な情報です。
- アラーム情報(評判・風評・口コミ):収集した情報を信用状況への影響を考慮して3段階(要警戒、注意、チェック)に分けて表示します。各アラーム情報をクリックすると情報元のサイトへ移動します。
- 信用状況:信用状況は、5段階(危険、不安、通常、安全、万全)に分けて表示します。
- 支払情報チェック:企業取引における代金支払状況など、当社の各サービス等で独自に蓄積した支払関連の情報を確認できます。
- ソーシャルチェック:インターネットで収集可能な範囲で、反社会的勢力やコンプライアンス違反等の情報を確認します。
- 公的機関チェック:社会保険の加入状況を確認できます。
- コメント:収集した情報をAIが分析し専任の調査担当者が、与信判断に関する見解と今後のアドバイスなどをコメントします。
- 財務情報:日本国内の約17万社について、過去3期分の決算情報の主要数値と推移グラフを表示します。※企業によっては情報が無い場合もあります。
一方で、価格帯についてはガッツリ調べるだけあって、企業向けなコスト感だと思います。
2.4 RISK EYES
ソーシャルワイヤー株式会社が提供するRISK EYES。
「暴力団」「逮捕」など、検索時の掛け合わせワードは事前にシステム設定しておくため、実際の検索は「法人名(人名)」を入力するだけでOKとのことで、「個人」も焦点にあたったツールになっています。
またAIを使って検索結果の絞り込みをするなど先進的なツールと言えそうです。
コストは検索対象ごとに分かれていて、毎月の最低利用料も設定されています。
調査対象を絞り込みたい場合は使いやすい一方で、全体的に一気に調査したい場合にはコスト単価があがる仕組みになっています。
2.5 反社チェック代行ソリューション
株式会社イノベーションネクストが提供するソリューションです。ホームページに日本刑事技術協会の方の推薦コメントがあり、かなり本格派です。
コストは抑え目。但し月額1万円がかかります。
また、調査対象がホームページ上は明記されていないです。
2.6 ツール比較まとめ
5つのツールを比較してみました。
スピードとコストを優先するなら「RoboRobo」
「個人」をしっかり深堀して調査するなら「ネットの履歴書」が
インフルエンサーのチェックにはマッチしているように思います。
3. 見ないふりをする
インフルエンサーマーケティング会社のチェック機能に頼る。
または自社で反社チェックを行う方法のほかには、
「何もしない」という選択肢もあります。
いや、実際はないかな(笑)
それなりの企業だと内部統制の一貫として必要ですし、
冒頭で述べたインフルエンサーという
「ほぼいち個人」と取引することによるリスクを考えると
お勧めはできません。
という方ならよいかもしれませんが。