経理財務で給与を上げていくには

私はキャリアの多くを経理財務(ファイナンス)の人間として生きてきたので、その仕事の重要性を理解していますし、誇りを勿論もっていますが、給与水準について気になりはじめました。

 

何が気になっているのか、というと。

 

経理財務で働いている若手社員の給与水準に課題を感じたのです。

 

 

現在、複数の企業に関わっていますが、自分の時代と比べて今の若い人達は給料を上げにくいのではないか、そんな中でいかにモチベーションを保って責任ある経理財務の仕事を遂行すべきか、を考えずにはいられないのです。

 

会社全体で給与水準が低いと、「じゃぁ、給料上げてあげればいいじゃん」という簡単に解決できる話でもありません。

Pay for Performance」 (能力ある人には払うよ。プロ野球形式ですね)で差がつくような人事制度であっても、経理財務の分野で突出したパフォーマンスを上げれる人は一握りでしょう。そういう突出した人だけにたくさん払えばよい、という考え方もあるでしょうが、組織を強く大きく育てたい、みんなにモチベーション高く働いてもらいたい、と考えだすと悩んでしまいます。

 

では、給与水準は本当に上げにくいのでしょうか。

現在の市況を考えてみたいと思います。

なお、当然ながら「仕事」は「お金」だけの要素で選ぶべきではないと思いますが、本記事は35歳くらいまでの若手経理人材がどうやって「給与」を上げていくか?の視点で書いています。

 

目次

 1. 経理職の人材市場はどうなっている?

 2. 経理職の給与トレンドはどうなっている?

 3. で、結局経理職で給与を上げていくためには?

 

 

 

 

1. 経理職の人材市場はどうなっている?

まず、直近の経理人材の需給関係はどうなんでしょうか?採用エージェントと話してると、「競争激しいですよ~」とあおられるのですが実際のところどうでしょう。

 

経理に限らない世の中全体の動きとしては、コロナ禍で求人数が一機に減り、しかも転職希望者数の増加トレンドが続いているため、有効求人倍率が一気に下がっています。

そのため、採用したい企業にとっては追い風(のはず)と捉えることができますね。

【全国】転職求人倍率、求人数、転職希望者数の推移(2021年1月発行版)

出元:doda転職求人倍率レポート(2021年1月発行版)|doda中途採用をお考えの法人様へ

 

 

次に、経理人材ですが、dodaによれば同社に登録している人材の構成は以下のようになっています。

経理・財務職の登録者詳細(2021年2月)

 

出元:管理部門の中途採用市場レポート(2021年2月発行)|doda中途採用をお考えの法人様へ

 

 

下記は上記レポートをもとに筆者作成のグラフですが、他の職種と比較すると管理部門の求職者の年齢層が高い・・・・

 

そして、油の乗った30代の求職者が全般的に少ないことが見て取れます。各社この層は手も動くし、業務も経験してるし、で欲しい層なのだと思います。

 

次に、経理人材の供給源になると思われる簿記資格の受験者数を見てみた。

下記図は商工会議所が公表している過去10年間の受験者数を筆者がグラフ化した資料。直近2回はコロナの影響で受験中止や受験者減少があるものの、全体の傾向としては10年前から6割~7割減少している。

 

その他、会計士の受験者数、会計大学院の閉鎖など、経理財務人材の減少を指し示すデータは他にもあり、候補人材の減少はデータ的にも確かなようです。

会計離れ - 会計・税務人財養成推進協議会

 

 

ではなぜ会計離れが進むのか、ですが、これは明確な理由は不明です。

 

会計のベースは経営力を押し上げる要素だと思うのですが、私にもわかりません。

世間一般的な経理のイメージが地味・暗いからでしょうか。(決してそんなことないのですが)

サラリーマンの無料イラスト

 

結論経理職の求人において、現状は35歳以上のミドルが求職者の5割以上を占めていて、かつ会計離れが数年前から進んでいることから、経理財務の人材(特に若手)の採用がどんどん難しくなる環境にあるようです。

 

ではそんな環境にある経理職の給与トレンドはどうなっているでしょうか。

 

 

2. 経理職の給与トレンドはどうなっている?

前述のとおり採用が難しくなっている、すなわち需要(採用したい企業)が供給(求職者)を上回っている場合、その給与水準は高くなる傾向があるはずですがどうでしょうか。

 

時系列で拾える情報から経理財務の平均年収水準を集めてみました。

下記グラフは各エージェントが公表しているデータをできるだけ集めたミックスのデータ(単位:万円)になってます。ちょっとミスリードかもしれませんので参照される際は注意頂きたいですが、2015年から年配世代は下がり傾向、ミドルは上昇傾向、若手はあまり変わってないトレンドがありそうです。

 

加えて、外資系における給与水準の変遷も確認してみました。

ロバートウォルターズが出している日本における外資系企業の給与水準から筆者作成。

[単位:百万円]      2015      2020   2020 対 2015
Large CFO(大企業CFO)     25~50     25~60         0~10
SME CFO(中小企業CFO)     15~25     15~25           -
Financial Accounting Manager(経理課長)     10~14     10~15         0~1
Financial Accountant (経理スタッフ)    5.5~7.5       6~9      0.5~1.5

 

全般的に外資はサラリーが上昇傾向にあるようです。

日本企業と外資では傾向が異なるのかもしれません。

 

結論:経理の給与水準は40代~の年配世代は下がり傾向、40代未満の採用需要のあるミドルは上昇傾向。若手はあまり変わってない。採用競争が高まっているからか、外資は給与水準を上げてきている。

 

 

3. で、結局経理職で給与を上げていくためには?

経理人材の採用は、需要側である求職者にとって有利な状況と言えますが、それが即座に給与の大幅な上昇にはつながっていない状況です。

これは、前述のデータに限らず、私が10年ほど採用を行ってきた感覚からも外れていません。

したがって、コツコツ実力をつけていくことも大事ですがミドルくらいになったら、戦略的にキャリアを構築していくことが給与アップの実現には必要なのだと思います。

 

キャリア戦略についてはこちら:

(一点書き洩れてますが、成長している業界に身をおくこと大事です) 

tm999.hatenablog.com

 

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