適法な人員削減によるコストカットの仕方
ファイナンスやFP&Aの仕事を長くしていると、一度は「人員削減によるコストカット」に直面したことがあるのではないでしょうか。
こんなニュースが出てました。
退職勧奨。
実に精神的にはつらい仕事です。
退職を勧める方にも、勧められる方にも。
こちらの記事のIBMなどの事例においてかかれている内容は他の企業でも実行されている内容と言えます。私自身も過去に在籍した企業で同じようなことをしていました。
パフォーマンスが低い人に会社を去ってもらう。
これは筋肉質な組織を作っていく上でどうしても避けれない道でしょう。
特にFP&Aなどの業務では「ヘッドカウント」を厳しく管理しなくてはなりませんし、「一人当たり売上高」や「一人あたり純利益」などが守るべきKPIとして設定されていることも多く、、、
成果の出ない人(通称ローパフォーマーと呼ばれますね)にはバスを降りてもらわなくてはならない。そうしないと組織の規律も守れない、という状況はままあることです。
会社が立ち行かないほどの赤字体質になって、全社的にリストラが必要な状態を除き、大量の人員をカットするのは、実務的には日本では難儀です。
そのため「特別退職金付きの希望退職募集」が良く見られますね。
米国などと比べると、日本は労働者が比較的守られる制度化にありますので、中小企業のうちから、いわゆる「バスに乗る人をしっかり選別」することが必要であり、ローパフォーマーや組織のビジョンに合わない人は常にバスを降りていく状態をつくっておくことが肝要でしょう。
だからこそ、人員の予算、人員の採用についてはファイナンスがしっかり審議しておくことをお勧めします。
退職勧奨にあたっては、どんなに丁寧なコミュニケーションをしたところでネガティブな感情が生まれますので、どれだけ本気で、真剣に、寄り添えるか、が大事な気がします。
すなわち、これは私が尊敬する方がそのように対処されているのを見て、自身も強くそう考えるように至ったのですが、リストラ対象の人についてこのように臨むべきなのではないでしょうか。
当然形式的な話じゃなくて、心底思わないとできませんが。
その①
去ってもらうのは人として優秀かどうか、という話ではないこと。リストラ対象であっても、その人だって人の子であり、人の親であることもあります。人間としての良し悪しではなく、あくまで会社の状況や働き方、周囲との人間関係などの条件下では「合わなかった」ということを明確にすること。
その②
①の状況をうけて、自社に残ってもらうことが会社にとっても、リストラ対象者にとってもハッピーではない。そのリストラ対象者の今後のキャリア、人生を考えたときによりハッピーな状況は生まれないから、次のステップを進んでもらう方がよいこと。
その➂
転職活動の期間の面倒を見たり、再就職をしっかり支援するなど、次のステップを本気でサポートすること。縁があって会社に所属頂いた人たちです。また何等かの形では貢献をしてきてくれた人たちです。その縁を大切に、去るときにもしっかりとサポートすることが大事です。社に残る人たちもこれは見てます。
最後にもう一つ。
大規模なリストラをやると、残る人たちも疑心暗鬼になって組織にネガティブな影響がどうしても残ります。
ですので、リストラ後のV字回復(Vまでとは言わないまでも、残った人員の雇用は死守できるレベル)を約束し、実行していかなくてはなりません。
業績回復がままならず、何年かに一回、同じようなリストラを敢行せざるを得ない組織を見たことがありますが、退職率が常に高くなったり、本音を言わない環境が生まれたりなど、もはや総入れ替えじゃないと闘うチームになるのは難しいのでは?と思わせられる状態に陥ったりします。
これは適法だとか適法じゃないといった問題ではなく、経営に対する従業員の不信感が生み出すものに外なりません。
そうならないよう、「人員削減によるコストカット」は相当に強いコミットメントが必要な手法だといえるでしょう。だからファイナンスも安易に人員削減や給与カットによるコストカットをリコメンドすべきではないのです。(安易じゃなければもちろん進めるべきですが)