RPAは何に使うのかを深く考えるべき

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私のいまかかわっている組織ではRPAは死んでます。

すなわち宝の持ち腐れというか、お蔵入りしています。

 

ライオンでは年間1000時間も労働時間を短縮できた、とのこと。

 

1000時間というと、だいたい社員1名の6カ月分の工数になるわけです。

 

ものの見方によっては、高々それだけか、という見方もできます。

 

実際RPA導入にかかるコスト(そして、そのあとのメンテナンスのためのコスト)を考えるとPayするのか?と考えてしまうような削減時間です。将来RPAがもっとコモディティ化して、無料のツールが沢山出てくるなどすれば、こういった削減時間の積み上げは、コストに敏感なファイナンス部門にとってはかなり魅力的です。

 

ですがこの記事を読んでみると、実は1000時間という「削減時間数」だけでは測れない価値があります。

 

このRPAは「化学物質の規制情報を収集したり、抽出したりできるシステム」とのことで、「規制情報の収集や抽出は、どのサイトにどのような情報が載っているか、どのような用語に着目し検索するかなど判断が難しく、経験豊富なベテラン社員が時間をかけて実施してきた」業務であったみたいです。

 

すなわち、同じ1000時間の削減でも、

「誰でもそれなりに勉強・経験すればできる業務」の1000時間だけであれば限られた効果でしょうが、

「経験豊富になるほど時間をかけて、はじめてできる業務」の1000時間相当分であれば、単純に「1000時間x時間単価」の削減以上の価値を持つと言えます。

 

どういった価値かというと:

・ベテラン社員が不在となった際の「規制情報の収集や抽出」業務の後継者問題が解決できる。

・単価の高いベテラン社員が「規制情報の収集や抽出」といった業務に使っている時間を、より重要な業務(判断やアウトプット)にあてられる。

・ベテラン社員の頭の中(要はブラックボックス)で簡潔しているため、正誤が判断できない状態、が解決される。

などがあるでしょう。

 

自社でRPAを導入するにしても、

「削減時間」x「時間単価」x「時間以外の付加価値」

を考えて導入したいものです。

 

「時間以外の付加価値」に何を用いるのか?は組織によって異なってきますがセンスが問われるところです。

「業務難易度」を点数化するやりかたもありますし、

コンプライアンスやコスト効率化など「目的」を用いて優先順位をつけていくのも手でしょう。

 

RPAがお蔵入りしないよう、達成すべき「目的」や「目標」は深く考え、しっかりと目標を定めてから導入には進みたいものです。